日本でも大ヒットの「82年生まれ、キム ジヨン」が映画化。
題名通り、1982年年に生まれた女性の半生を描いた物語で、
幼少期から母親になるまでの社会における韓国一般女性の性差別について描いています。
特に娘を持つ子育て世代にはぜひとも見ていただきたい一作です。
「82年生まれ、キム ジヨン」とは
韓国で2019年に公開された映画「82年生まれ、キム ジヨン」は、公開から僅か1か月で350万人以上を動員した大ヒット作品です。
原作は2016年に同じ題名「82年生まれ、キム ジヨン」で発刊されており、韓国では130万部超えの大ベストセラー小説でもあります。
日本でも2018年に翻訳書が発刊され、大きな話題になりました。
台湾でもベストセラーとなり、ベトナム、アメリカ、カナダ、イギリス、イタリア、フランス、スペインなど17か国で翻訳されています。
原作は、文学品でありながらジャーナリズムも備えた書き方で、実話ではと思えてしまうほど、リアルに描写されています。
結婚と出産を機に仕事をやめ、1歳の娘の育児と家事に追わせるキム ジヨン、
一人の患者のカルテという展開で物語が進んでいき、問題提起が散りばめられています。
幼少期、学生時代、就職、結婚、出産、育児そして現在のさまざまな段階で受けた女性への差別的な考えや行動、男女間のギャップのある企業指針や制度など、女性が社会で生きるなかで立ちはだかる困難や障壁を描いています。
また、キム ジオン、母、そして祖母の女性3世代の世代間の考え方の違いにも注目です。
キム ジオンの母や祖母の世代の考えや彼女らが小さいころの話は衝撃的でした。
女性は、男の為に尽くす。男兄弟の為に、小学校を出たら働くことや男の子を産まないと喜ばれないなど、当時の韓国の一般的な考えや習慣と思うとぞっとしました。
特に母親は、小さいころから女性であるうえに自分の夢もかなえられなかったがために、自分の娘にはやりたいことをやらせてあげたいという強い意志と女性の強さが描かれてあります。
子育て世代必見の原作「82年生まれ、キム ジヨン」
娘を持つ親として、そして妻のパートナーという目線でこの「82年生まれ、キム ジヨン」の原作を読みました。
韓国と日本は比較的、考えや慣習が他国に比べて近い印象ですが、キム ジオンの半生を一緒に辿ってみて、私が想像する以上の女性差別が社会に組み込まれていることに気づかされました。
それは特定の年代というわけではなく、幼少期や学生時代からあることに気づかされたのです。
私の娘はまだ小さいですが、これからの過程でジヨンと同じようなことは決してあってはいけないし、法律や制度が変わっても、結局はひとりひとりの考えと行動が大切になるのではと思いました。
また、主人公のキム ジオンが結婚や出産の時々に夫とのやり取りがとても身近にも感じられ、
私は妻を支えられているのだろうか。女性であるが上に、悲しい思いをさせてしまっていないだろうか。と我を振り返り、自問自答しながら読み進めていました。
原作はなかなか皮肉めいた終わり方であったし、本編の後には、著者、解説、訳者の話もあり、また本編を深めることもできます。
映画「82年生まれ、キム ジヨン」日本上映
2020年10月9日から日本で公開される映画「82年生まれ、キム ジヨン」。
原作が発刊され数年が経ち、原作とはまた違ったストーリー展開のようです。
ただ、本質は変わらず、女性としての生きづらさや不条理を展開するのは変わりなく、登場人物の所作や発言に自分が投影されているのではという親近感を感じながら映画を見ることができるのではないかと思います。
キャストはジヨン役をチョン ユミ、夫役をコン ユで、この二人は2016年1156万人を動員した映画「新感染ファイナル・エクスプレス」で共演しており、今回が3度目で、二人の息の合った演技にも注目です。
またドラマや舞台でも活躍する実力派俳優もそろっており、豪華な作品になっています。
まとめ
映画「82年生まれ、キム ジヨン」について、ご紹介しました。
特に娘を持つ子育て世代には必見の作品ですので、是非とも観覧、若しくは原作を手に取っていただき、誰かと共有していただきたい。
次の世代にどのような未来を渡すかを考えるきっかけになる作品だと思います。