不良少年や不登校だった若者を集めて訓練し、大企業で活躍させる人材を輩出するスタートアップ企業「株式会社ハッシャダイ」。
今、働き手がいない、人手不足という会社も多く、外国人、女性、高齢者と働き手を探してきた企業は、中卒や高卒といった若者にも働き手としての魅力を見出していると言います。
その仕掛け人と言われている「株式会社ハッシャダイ」について、まとめてみました。
株式会社ハッシャダイとはどのような会社?
株式会社ハッシャダイは、2015年に設立した会社で、主な事業内容は人材育成と派遣・紹介事業です。
特に非大卒と言われる中卒、高卒などの学歴格差や地方格差で将来の可能性を気づけない「よそもの、ばかもの、わかもの」と一般的に呼ばれる人に対して、
東京での職・食・住を無償で提供するヤンキーインターンシップを通して、若者を育成し企業に紹介し、「選択格差」のない社会の実現を目指す会社です。
人材育成・派遣事業の他、アパレルやリゾートバイトを紹介するヤンキーリゾート(現在トラバイに変更)サイト運営などもしています。
収入源は、インターン生が企業から受託する仕事やインターン生の卒業後、企業への紹介料がメインです。
2018年にはDMM.comによる買収(100%株式取得)で株式会社ハッシャダイはDMM.comの子会社になりました。
パソコンなど周辺機器もDMMより供給など、事業サポートも広がるうえハッシャダイとしても事業成長のスピードが格段と上がります。
DMM.comとしては、優秀な人材が株式会社ハッシャダイから採用できるという点と、ネットワーク拡大というてんでの買収だったようです。
株式会社ハッシャダイのヤンキーインターンとは?
すでに300名以上の卒業生を輩出しており、サイバーエージェントやソフトバンクなど大手IT企業に採用された実績をもつ、ヤンキーインターンとはどのようなものなのでしょうか。
対象者
中卒高卒の東京在住者以外の18歳~24歳
ヤンキーインターンの内容
営業コースとIT(ハッカー)コースがあり、3~6か月の間東京で仲間たちと共同生活をしながら、社会人マナーやビジネスマンとしての基礎、プログラミングなどを学んでいく。
営業コースでは、通信機器の訪問営業などもあるようで、多い時に一日800軒を回ることもあるようです。
IT(ハッカー)コースは、LINEでメンターと連絡を取り合い、インターネット上の教材に基づき、学んでいくようです。わからないことがあれば、メンバーに連絡し質問したりし、より学校に似ているようにも思えます。
就職先
サイバーエージェント、ソフトバンク、エン・ジャパン、CAMPFIRE、LIFULなど
株式会社ハッシャダイの創業者は?
創業者5人は同じ京都出身の地元友達がベース。
久世大亮
高校時代、ヤンキー集団との群れに疑問を感じているときに、高校の教師に「大学を目指せ」と言われ、必死に勉強し、龍谷大学へ入学、中退するも大阪の通信機器の販売店に入社。
トップの営業成績を残すようになり、将来はとざされていると思っていた自分の人生が変わっていることを実感するも地元に帰ると何も変わってない仲間たちに何かできないと思い、ハッシャダイの前身となる会社、そして株式会社ハッシャダイを起こすことに
勝山恵一
小中学は野球の日本代表に選出。高校は野球の強豪平安高校で野球に明け暮れるも、先輩とけんかし退学。その後、非行に手を染めてしまうこともあるものの、子どもができたことを機に久世の誘いでハッシャダイの前身となる営業会社に入り、300人のトップになるほどの成績をだす。現在はHASSYADAI SCHOOLなど高校や児童施設などで公演を行う。
近藤真弥
ゲームセンター漬けだった近藤は、自ら懇願して5人の共同生活に入る。営業を始めたものの、話すのが苦手なためなかなか成績が上がらなかった。しかし仕事の一環で始めた動画撮影に面白さを見出し、映像の世界にのめり込み、映像クリエーターとしてハッシャダイからの独立をしている。
小林誠司
高校していたキックボクサーを続けるために高校卒業後は電気工やとび職をするも仕事もキックボクシングも中途半端になってしまう。その時に声をかけてくれたのが、同じ高校に通っていた久世。今はヤンキーインターンのメンターや研修を担当している。
藤川直人
近藤と同じ中学で、久世は隣の中学だった。時にはいがみ合ってけんかすることも。中学を卒業しても中学のグループとつるむことが多かったが、久世は自分の中学グループとは離れて藤川たちと親しく遊ぶようにもなった。
久世が大学時代に学生団体の代表をして、キラキラ輝いているのを見て、自分も団体に入りたいとお願いするも、当時藤川は大学生ではなかったため、断られた。しかし、ハッシャダイの前身の営業会社を立ち上げる際に久世から声を掛けられ、会社に入る。今は、新人研修を担当する。
株式会社ハッシャダイを知って
今や大学・大学院にいくのが当たり前。
中高生はやりたいことがないし、周りも高校大学行くからなんとなく行くという程度。
選択肢があるのに選択できてないようにも思えた。
一方で、日本社会は大卒と非大卒に対して見方が変わる。仕事に就くにも大卒が求められたりもする。
日本社会は、失敗に寛容ではない。一度失敗するとなかなか元に戻れない社会体制。
特に不良少年や不登校な若者たちは、現状を変えたいがどうしていいかわからないという若者が多いのではないだろうか。
そんな負のスパイラルから脱し、明るい未来への発射台へのせようとするのが、株式会社ハッシャダイだ。
私自身、フィリピンの貧困層を支援しているNPO法人を訪問した際、
NPO代表は、「子どもたちに選択できる人生を与えること」が一つの目標ともおっしゃっていました。
”貧困層に生まれたら、職の選択肢が限られてしまう。親に決められたり、貧困層だからなりたい職業になれなかったり、勉強する為のお金がなかったり、そもそもどんな職業があるのかも知らなかったり。
一方、日本は選択で溢れているのに、選択できる喜びをわかって生きていない。自分の人生を自分で選択できるのに、自分で決めずに親や周り、なんとなく選択する。”
これを聞いた、当時学生だった私は、はっとしたのを覚えています。
日常生活に選択で溢れていたのに、“どれでもいい”と言って他の人に選択してもらった経験があったからです。
選択できる喜び、株式会社ハッシャダイが掲げている“CHOOSE YOUR LIFE”のように
少しでも多くの方が自分自身で人生を選択し、自分らしい生き方をする、もっと多様性のある社会になるといいですね。