立派な大人になってほしいと思うばかり、ついつい過干渉になってしまう子育て。
そのせいで、叱りすぎて自己嫌悪と、悪循環になってしまうこともありますよね。
できれば叱りたくないのに、社会に出てもおかしくない立派な大人にと思い叱ってしまう。
そんな子育てから脱却できる、叱らなくていい子育てとはどんなことなのでしょうか。
「子育て=叱ること」になっていませんか
多くの人が子どもに「正しい姿」を教えようと頑張っています。子どもが望ましくない行動をしたときに叱ったり、ダメ出ししたりする。このようなかかわり方はかえって子どもが大人の言葉に耳を貸さなくなり、本来の意図とは逆の結果をもたらす可能性があるのです。大人も同様ですよね。やることなすこと逐一指摘や指示をされるとイヤになりますよね。
子どもを叱らないようにするには、どうしたらよいのでしょうか
日本の子育ては叱るや叱らないにしても否定語、ダメ出しが多いようです。また「早く」などの支配する言葉も多い印象です。これは日本社会の周りに迷惑をかけてはいけない。規律を守るという固定概念があるからではないでしょうか。しかし、こういった言葉は子どもにとって心地よくないので、大人の言葉や働きかけをスルーし、信頼しなくなってしまいます。大人の都合のいいようにしつけようといった意図のもとに、逐一子どもにダメ出ししていくと、結果的に子どもは聞かくなるので、かえって大人の気に障る行動が増えてしまいます。基本的に子どもは親を信頼していますが、ダメ出しなどの規制や早くなどの支配的なかかわり方は大人への信頼感を損なって、子どもは「いうことを聞かない子」となってしまいます。「子どもから大人への信頼感」というのは、子育てにおいて最良のツールです。それを大人が自分から損なってしまっては、子育ては大変なばかりになってしまいます。
では、どうすれば?
子どもには、自分を保護してくれる大人の気持ちを敏感に察する感覚があります。「叱らなくていい子育て」のためには、この感覚を伸ばしていくとよいのではないでしょうか。
子どもが困ること嫌なことをしたら、「そういうことしたらママ困るな」「パパ悲しいな」と相手がどんなに小さい子どもでもきちんと言葉にしましょう。そして、口先だけでなく本当に困る悲しいという気持ちを表情、態度で示しましょう。普段からこういう関わりを積み重ねていくと「困ること、悲しいこと」をしない子になります。もちろんネガティブな感情だけでなく、「うれしい、たのしい」といったポジティブな感情も伝え、共有し、心のパイプをつなげていくのです。
自分の気持ちを伝える
大人はその行為が危険につながることはわかっていますが、その危険は予測の先にあることであって、小さい子どもにはそれが具体的に見えているわけではありません。そのため危険であるという理屈ばかり伝えるだけではうまくいきません。小さい子どもがその行動をすべきでないと感じるのは、その理屈を理解した結果ではなく、信頼する大人の「してほしくない」という気持ちが伝わった結果なのです。
つまり大人の気持ちを伝えることに重点を置けばよいわけです。
「ダメ」「危ない」というような制止のアプローチは、その行動を押さえつけようという一過性のかかわりに過ぎません。ある程度の発達段階に至った子であれば、ルールや理屈を理解する五歳児くらいであれば、問題ない場合もあるかもしれません。しかし、それよりももっと小さい子に対しては、大人の気持ちを伝えることのほうが理解しやすいのです。
大人のほうがその気持ちをしっかりと言葉にのせて、それと表情・態度でも一緒に示すことで「大好きなママ・パパがしてほしくないと思っている」と子どもが感じて、その行動を良くないと思うようになり、結果的にそれをしなくなるわけです。
気持ちを伝えるときに大事な2つのプロセス
1つが「待つ」というプロセスです。大人が気持ちをのせた言葉を伝えたら、結果を急いで求めてはいけません。子どもは言葉を理解してそれを行動に反映させるまでに時間がかかってしまうものです。
もう1つが「認める」というプロセスです。子どもに大人の言葉が伝わり、行動に反映されたら、しっかりと認めてあげることです。認める際もきちんと気持ちを言葉にのせて伝えることが大切です。
これが習慣的になっていくことで、子どもの行動を制止しなければならないようなときの対応がすんなりいくようになります。またそもそもの制止しなければならない行動までものが減らしていけるでしょう。
心の言葉を使う
苦手な食べ物もすこしは食べてほしい時「ちょっとだけもいいからそれを食べてくれたらうれしいな」飲み込めなかったとしても、口の中に入れられただけでもそれを認めてあげましょう。この認めるという関りは小さい時から積み重ねることでとても効果があります。支配のない関り、尊重した関りをすることで、こどもを素直な状態のまま育てていくことがあります。子どもは関り方次第で、育てやすくも育てにくくもなります。
叱るほうがいいの?叱らないほうがいいの?
おそらく多くの方が感じておられるように最初から「まったく叱らない」と決めつけて子育てする必要はないでしょう。子どもが本当にすべきでないことをしたとき、そしてそれを大人が強く伝えなければならないときに「叱る」ということは大切な関りになります。
「叱ることありき」の子育てのもつ危うさ
多くの人が既成概念として無意識のうちに、「子どもはダメ出しをすることでその行動をしなくなるものだ」と考えてしまっています。
子どもが望むような姿にならないとこの考え方で子育てをしている人は「否定」「制止」「禁止」「指示」「支配」の関りを強化してしまっています。それで子どもが思ったようにならなければ、「叱る」というさらに深刻化してしまいます。
「叱ることありき」が子育てを難しくしている
子育てへの関りを漠然と「叱ることありき」で考える人は、知らないうちに子どもを「型にはめる」ような子育てを選択してしまっています。それはとても窮屈で「子どもの理想像」を大人が勝手に決めてしまい、子育ての目指すところをいつの間にか一つにしてしまいます。それが「否定」や「指示」など、子どもにたいしてネガティブな関り方を大人がしていく結果、「過保護や過干渉」、「子どもの自己肯定感の低下」などを招いてしまうのです。
「叱ることありき=子どもを大人の思うように支配すること」の子育ての考え方は、本質的には子どもそのもののちからを伸ばしているわけではありません。大人から見た時の適応的な姿に当てはめようということを繰り返しているのに過ぎないのです。
大人は子どもの望ましい姿を求められているのに、それ自体が望ましい姿から遠ざけてしまうような関わり方なので、長い期間にわたって大変さばかりがつのってしまいます。
子育てをするのに「叱って育てるか」、「叱らないで育てるか」というどちらかに偏ったお話ではなくて、「子育て=叱る」ではないということなのです。子どもを育てる上で「叱る」ことは出てくるかもしれない、でも「叱る」前にやれることはたくさんあるのではと思えればよいのではないでしょうか。
まとめ
叱らなくていい子育てとは、安易に叱るということを多用しないで、子どもと大人の信頼関係を培って、気持ちを言葉にのせ、表情と態度で伝えることが大切なのではないでしょうか。
子どもの成長はあっという間です。
叱らなくていい子育てを通じて、良好な親子関係を築くことが子供の成長に良い影響を与え、ハッピーな子育てにすることができるのではないでしょうか。